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大根とかぶらの関係(解説に代えて)
 さて、約一ヶ月ぶり、二本目の作品を投稿しましたよっと。
 どうやら表には出て来ないようなので、裏の方へ回っていただければ。
 自己責任で。
 正直な話、もうちょっと抑えめな表現すれば、充分表の一般文芸ジャンルで通せる内容だとは思うんですがね。これはあくまでも、『YOUは小説家』にああいった内容への潜在需要があるのかどうかを計ることに加えて、ついでに呼び水となることが目的。

 とりあえず書いてみようと思い立ち、友人何人かにぽろっと告げたら、
「お前それ本気か?」
 みたいな反応が多数あった。書けるのか、恥ずかしくないのか、そういう意味合いで。個人的には全然問題ない。
 どだい創作というやつは、作者の一人上手でしかない。楽しいから創作する。それをただの独りよがりにせず、他者と共有し、共感し、作者の内なる世界を追体験させる――それがエンターテインメントである。
 俺はそういう風に考えている。
 年齢制限があろうがなかろうが、やってる中身は本質的に何も変わらない。単にベクトルが異なるだけで。
 だから抵抗感などは微塵も感じない。
 これを恥ずかしいと思うなら、そもそも投稿して公開なんぞしない。

 以下、解説というかネタバラシ。
 着想したのがだいたい二週間前なのに、慣れないことするもんだから、構成も執筆も随分時間を食った。
 作品内の雰囲気作りのために時代がかった文体を心がけた上に、フフフフンなことまで盛り込まなきゃいかんと、自縄自縛とはいえ完全に前代未聞ですわ。俺の中で。

 さて、別に隠すつもりはないので白状すると(実際最後に明記してるし)、この話はかの有名な『今昔物語』巻の二十六に収録された一編を大本にしております。
 が。
 俺自身はあらすじを聞いたことがある程度で、実際に読んだことはありません。執筆するに当たって、図書館辺りで探して紐解こうかとも考えたものの、聞きかじった断片的な内容から自分なりにアレンジした方が面白くなるんじゃないかと思い直した。
 故に翻案。
 ところで「翻案」が二次創作になるのかどうなのか気になったんだが、どうなんだろうね。芥川龍之介の『鼻』だとか、『オペラ座の怪人』が何度も異なる形で演じられたとしても、だからと言ってそれらを二次創作と称するのは今まで聞いたことがない。
 まあどうでもいいんだけど。
 ちなみに俺が聞きかじった内容は以下のようなもの。

「ある時男が街道を行っていると突然催し、近くに植えられていたかぶらを引っこ抜いて致すとスッキリしてどこかへ消えた。後にそのかぶらを食った娘が懐妊、出産し、数年後同じところへやって来た男は自分とそっくりな子どもを見かけ、事情を聞くに我が子であると確信し、子どもとその母親を妻子として迎え入れた。めでたしめでたし」

 う、うーん。
『今昔物語』が平安時代に編纂された物語集なのはご存じの通り。当時すでに有名な説話を集めたものだったはずなので、ざっくり八百年前からこんな想像力豊かな話があったことになるわけですな。なんだこれは、たまげたなぁ……
 そしてここに書くために改めて調べたところ、正式なタイトルは『東方行者娶蕪生子語』というらしい?
 ありがたくも拙作を読まれた方はお気付きであろうが、「東に向かって」旅をしているというのが一致しているようだ。断っておくが、この記事を書くに当たって調べるまで、このタイトルはまったく知らなかった。偶然の一致。
 まあ、個人が旅出来るくらい太平楽な世の中となれば江戸時代だろ、という安直な発想の下に設定した時代が時代なら、思い付く主要な地名は江戸か京都か大坂(誤字に非ず)かの三択。そこで旅とくればもう、西から東へ行くか、東から西へ行くかしかないんだから、知らずに原典と一致したって別に不思議じゃない。
 尚、拙作中では江戸時代と言明していないが、ていうかそもそも「東」って言ってることすらあらすじだけでのことだが、何時代でだいたいどの辺りをどの方角に向かっているかは、ある程度推察出来るように情報をちりばめてある。
 例えば三度笠と言えば江戸時代でポピュラーな代物だし、吉原も江戸の遊郭として有名であり、だいたいここで時代がわかる。
 茶屋の娘のセリフ「南の道を下れば」等が回想として出て来る。今でこそ「上京」とは東京へ上る(この表現もな)ことだが、昔「都に上る」と言うは京都へ向かうことであったのは日本史辺りで習うはずだろう。よって「下る」のだから東である。
 今気付いたけど、「都から下る」んなら京都以西とも読めるねこれ。
 一応、山中ということで中山道を想定して書いてたけども、ま、まあ、別に行き先が長崎の出島であっても問題ないわけで……

 こんなところか。
 あー、後、なんで大根そのものあるいは原典通りに子どもじゃなくて沢庵なのかというと、十月十日経って出産したものの、結局弥七が同じ道通ったのが一年後で、腐っちゃうから漬けた、とかそんな感じ。
 弥七の名前も、当初はずっと「男」で通してたけど、あまりにも味気ない上に分量が予想より多くなったから、急遽名付けた。江戸時代なら弥七でいいだろ(風車的に)。他の候補はヤジさんかキタさんだった。二人も出て来ないから、じゃあ没という単純な理由で不採用。
 結局、子どもなのか大根なのか、あの女はなんなのか。ご想像にお任せします。

 で、書いてみて思ったんだが。
 これきっとBLACKどころか、数多ある制限サイトの需要を完全に大幅に振り切って外してるよな。
 やっぱりナポレオンとかフランスとかキルタイムとかそういうのだろうな(わかっててやったのかよ)。
 一応、執筆に当たっては参考までに一部無料公開されてるナポレオンだかフランスだかそういうのも見てみたが、ああいう作家って凄いね。語彙が。
 なんか専用のすんげー分厚い辞書とか持ってそうだと思った。
 そんで中学生みたいに赤線引いてんの。

 団鬼六が辞書に赤線引いてる姿とか、滅茶苦茶面白いな。
14.08.04 21:41 コメント(0)